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【とやま】10月のおすすめ作品★10/2(金)~『フェアウェル』★

2020.09.29 投稿

 今回おすすめしたい映画は「フェアウェル」です。主人公のビリーは幼い頃に両親とアメリカに移住し、今はニューヨークで暮らしています。ある日、中国に住む祖母のナイナイがガンで余命3ヶ月だということを知らされます。親族は祖母にはその事実を伝えないことにし、最後に親族一同が顔を揃えて祖母に会いに行く口実として、ビリーのいとこの“嘘の結婚式”を開くことにします。アメリカで育ったビリーは、ガンの事実を祖母に言わない選択に納得がいきません。中国で過ごした数日間でビリーは祖母や親族といろんな話をします。そして、中国の文化や考え方に触れたことで自分のアイデンティティについて深く考えることになります。映画はビリーのそんな姿を、ユーモアを交えながら描いています。
最近、「ダイバーシティ」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。国籍・人種・民族・宗教・学歴・性的指向等の「多様性」のことです。本作は、アメリカでわずか4館からの公開スタートだったにもかかわらず公開3週目には全米TOP10入りを果たすという異例の大ヒットを記録しました。そして、アカデミー賞の前哨戦といわれるゴールデン・グローブ賞では、主演のオークワフィナがミュージカル・コメディ部門でアジア系女性としては初めて主演女優賞を獲得しています。インディーズともいえる小さな資本の作品が口コミで全米へ広がり大ヒットしたのはどうしてでしょうか?そこには移民大国アメリカのダイバーシティへの関心の高さがヒットにつながった要因のひとつなのではないかと思います。
本作は、1983年に北京で生まれマイアミで育った中国系アメリカ人の女性監督 ルル・ワンの実体験から生まれました。映画の主人公ビリーには、ワン監督自身が投影されています。アメリカで育った中国人として、自分のアイデンティティに向き合い続けたワン監督の想いがこの映画をつくるきっかけとなっています。「かつての時代は白か黒か二つのものしかない世界だったのが、今はより複雑にいろいろなニュアンスを持つ世界になってきていて、しかもそれがいろんな形で交錯もしていく。だから人は一度にいろいろなものでありえる時代になってきていると思います。」ワン監督はインタビューでそのように答えています。自分がどの国の人間であるとか、何人であるとか、そんなことよりも二つの異なる国のルーツと文化を持つことによって自分の中で生まれるアイデンティティを大切に生きていけばいいし、それが可能な時代になってきていると映画の中でワン監督は伝えているように思います。中国から戻ったビリーが、様々な多様性を持った人々が行き交うニューヨークの雑踏を歩いています。彼女が少し成長したように見えるのは気のせいだけではないでしょう。
 思い出されることがあります。社会生活における多様性を意味するダイバーシティは、もともとは、アメリカにおいてマイノリティや女性の差別のない公正な処遇の実現を求める運動から広がったものです。韓国映画「パラサイト」が作品賞を受賞した今年のアカデミー賞において、監督賞にノミネートされた女性監督はひとりもいませんでした。授賞式でナタリー・ポートマンは、ノミネートされるべき女性監督たちの名前を金色の糸で刺繍したケープをまとい抗議の意を表しました。そこにはルル・ワン監督の名前もありました。
 ※公式サイトはこちら →http://farewell-movie.com/
  映画「フェアウェル」は10月2日より公開

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    【とやま】9月おすすめ作品 ★9/18(金)~10/1(木)『ファヒム  パリが見た奇跡』★

    2020.09.13 投稿

     いつもJ-MAXとやまをご利用いただきありがとうございます。9月の上映作品から今回紹介するのは、「ファヒム  パリが見た奇跡」です。派手ではありませんが、実話をもとに描いた心がほっこりする奇跡の物語です。
     政治情勢が不安定なバングラデシュの首都ダッカに住む8歳のファヒムは、チェスの才能に秀でた少年です。反政府活動に加担していたことで身の危険を感じたファヒムの父親ヌラは、ファヒムを連れフランス・パリへ脱出します。二人は何のつてもなく言葉もわからない土地で路頭に迷いますが、赤十字に保護され難民保護施設に入ることができました。父親の難民申請の審査を待つ間、ファヒムはチェス教室に通います。そこでフランスでも有数のチェスのトップコーチ シルヴァンと出会いチェスの大会にも出場するようになります。しかし一方で、父親の難民申請は認められず強制退去をしなければならなくなりました。解決策はただ一つです。それは、ファヒムがチェスでフランス王者になることです。
     本作は、コーチの厳しい指導の下でチェスのフランス王者を目指す熱血サクセス・ストーリーを描きたかったわけではありません。同じチェス教室に通う同世代の子どもたちとのふれあいや見守る大人たち。祖国を後にしてフランスにやってきた同じ境遇の人たち。見知らぬ土地で出会ったそんな人たちとファヒムの交流と心の成長をチェスを通して描いた人間ドラマです。
     ファヒムを演じたのは、演技経験が全くないアサド・アーメッド君。彼は、バングラデシュから移民としてフランスに来たわずか3ヶ月後に偶然キャスティングされました。映画撮影の期間にフランス語を覚え、チェスをマスターし、異国の文化や生活習慣に馴染んだアーメッド君は、まさにファヒムを体現しているといってもいいでしょう。生まれて初めて海を見るシーンがあるのですが、アーメッド君自身にとっても初めての体験でした。演技を越えた彼の感動が伝わってきます。そして、ファヒムにチェスを指導するコーチのシルヴァンを演じたフランスの名優ジェラール・ドパルデューのちょっと気難しいけど慈愛に満ちた演技が、素晴らしいフランスワインのような芳醇さをもたらしています。是非味わってみて下さい。
     本作の監督ピエール=フランソワ・マルタン=ラヴァルは、インタビューで「おとぎ話が大好きだし、おとぎ話を固く信じている。」と語っています。まさにこの実話はおとぎ話そのものです。しかし、数多くの路上生活者やテント生活者がいる難民や移民の悲しい現実があることを忘れてはいけないとも感じます。言葉もわからず仕事も見つけられないファヒムの父ヌラが味わう疎外感や難民申請の通訳から受ける嫌がらせ。映画ではそんな実情もさりげなく描いています。奇跡のおとぎ話じゃなくてこれが当たり前の社会になれば。この作品には監督のそんな強い想いも込められていると思います。

     ※「ファヒム パリが見た奇跡」9月18(金)~上映開始 (10月1日(木)までの期間限定上映)
       公式サイトはこちら→ https://fahim-movie.com/

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    【とやま】9月おすすめ作品 ★9/11(金)~『海辺の映画館 -キネマの玉手箱―』★

    2020.09.07 投稿

    日頃よりJ-MAXとやまをご愛顧いただきありがとうございます。時間の経つのは本当に早いものですね。もう9月です。今月も多彩なラインナップで皆さんのご来館をお待ちしています。さて、今月最初にご紹介したい作品は大林宣彦監督「海辺の映画館 -キネマの玉手箱―」です。
     尾道の海辺にある映画館 瀬戸内キネマが閉館することになりました。最終日は日本の戦争映画大特集です。上映がはじまると、映画を観ていた3人の青年がスクリーンの中に入り込んでしまいます。彼らはそこで様々な時代の戦争を目にし、戦争に翻弄される沢山の人々と出会います。大林監督の全ての作品に通底する反戦のメッセージが、本作でも全編に貫かれています。
    この作品をなんて説明すればいいのだろう?だって、宇宙船にのった爺さんが海辺の映画館にやって来てなんだかんだと愚痴る反戦映画なんです、っていっても益々謎ですもんね(笑)。映画のストーリーを簡単に言うと前述したとおりなんですが、寂れた映画館に現れた映画の迷宮で、ミュージカル、チャンバラ、任侠、コメディ、ラブ&ファンタジー、サスペンスにアクションとエロス、そしてSFとあらゆる映画の醍醐味を堪能することになります。初めて大林監督の映画をご覧になるのであれば、映画が始まって1分もしないうちに何か不思議な異世界へ引っ張り込まれてしまったような感覚に陥るはずです。映画の概念が180度ひっくり返されることでしょう。えっ!?これって映画??そんなふうに思われる方もいらっしゃるでしょう。はい、映画です。これが大林ワールド全開の映画です。そしてもう一つ付け加えるなら、多彩なキャストも大林作品の魅力です。あんな人やそんな人まで!とにかく、自由奔放で軽妙洒脱な唯一無二の息つく間もない2時間59分の映画体験をすることになるでしょう。映画作りに定石や、外してはいけない決まり事なんてない。大林作品を観るといつもそんなことを感じます。大林監督の言葉を借りて本作をこんなふうにお伝えしましょう。―“さぁ、いらはい、いらはい!”キネマの玉手箱“ どうぞ手に取り、あけて御覧なさいませ!面白くて為になるよぉ!!―
     ご存じの方も多いと思いますが、本作は大林監督の最新作にして遺作となってしまいました。この映画の公開は4月10日を予定していたのですが、新型コロナウイルスの影響で公開が延期になってしまいました。2016年に肺がんで余命を宣告された後も命を削るように映画作りに情熱を傾け続けた大林監督が82年の生涯を閉じたのは、奇しくも当初の公開予定日だった4月10日でした。
     どこまでも型破りな大林作品ですが、この映画の最後に監督自身の言葉によって“終わり”ではなく“中断”であると伝えられます。では、いつこの作品は終わりを迎えるのでしょうか?「過去は変えられないが未来は変えられる」と監督は訴えます。この映画がこの先の未来に語り継がれ、戦争のない真に平和な世界が訪れた時にこの作品は終わるのかもしれません。
     ※「海辺の映画館―キネマの玉手箱―」は9月11日~上映開始
       公式サイトはこちら→https://umibenoeigakan.jp/

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