【とやま】スタッフおすすめ作品☆6/4(金)~『JUNK HEAD(ジャンク・ヘッド)』☆
1879年、フランスの郵便配達員フェルディナン・シュヴァルは奇妙な形の石につまずきます。その石に魅せられたシュヴァルは宮殿を建てることを決意します。建築に関しては何の知識もなかったシュヴァルでしたが、手押し車で拾い集めた石を自宅の庭先に積み上げ続けました。誰の助けも借りず、たった一人でコツコツと作り上げられた建物は33年後の1912年に完成します。そしてパレ・イデアル(=理想宮)と名付けました。
今回紹介する作品は「JUNK HEAD ジャンク・ヘッド」。内装業を生業としていた堀貴秀が独学で映画作りを学び、たった1人で作り始め7年の歳月をかけて完成させたSFストップモーションアニメーションのパレ・イデアル、堀監督は令和の時代の日本のシュヴァルです。
環境破壊により地上は住めないほどに汚染されてしまいました。地下開発を目指した人類はその労働力として人工生命体マリガンを生み出しました。ところが、マリガンは人類に反乱し地下を乗っ取ってしまいます。それから1600年、遺伝子操作により長寿を得た人類は、その代償として生殖能力を失います。そんな人類に新種のウイルスが襲いかかり人口の30%が失われてしまいます。人類は存続の鍵を探るべく、地下世界で独自に進化するマリガンの生態調査を開始します。政府が募集する地下調査員に応募したのは、生徒減少で経営難に陥ったダンス講師のパートン。パートンは広大な地下世界へ飛び込んでいきます。
この作品の手法として使われているストップモーションアニメーションとは、静止している物体を1コマ毎に少しずつ動かしカメラで撮影し、それ自身が連続して動いているかのように見せる撮影手法です。今では滅多に目にしなくなった映画のフィルム上映では1秒間に24コマのフィルムが流れます。つまり、スムーズな動きの作品にしようとすれば、わずか1秒の動画を作るために少しずつ動かしながら24回のカメラ撮影が必要となるわけです。本作「JUNK HEAD」は101分の作品です。約14万コマの撮影を要しています。更には、堀監督は作品に登場するグロテスクだけれどもどこか愛嬌のある生命体や無機質な地下世界を自ら創造し全て手作りしています。気の遠くなるような時間を費やし、地道で忍耐のいる孤独な作業を続け作品を作り上げました。才能の有無というものはあるでしょう。しかし、才能以上に本作を観て感じるのは狂気です。最大の賛辞を込めて“狂気の沙汰”という言葉をこの作品と堀監督に送りたいと思います。
「JUNK HEAD」は、1000年前の世界を描いた第二部、その後の世界を描いた第三部という三部作とのこと。さて、完結するまで何年かかるのでしょう(笑)?次を早く観たい!そんな気持ちはありますが、創造力に溢れた狂気の世界のためなら何年でも待ちます。
※ 「JUNK HEAD」は6/4~6/17まで上映
※ 公式サイト→https://gaga.ne.jp/junkhead/
©️2021 MAGNET/YAMIKEN

【とやま】『いのちの停車場』ぜひ、ご鑑賞下さい!!本日のトークイベントの感動エピソード。
いつもJ MAX THEATERとやまをご利用頂きまして、誠にありがとうございます。
本日の『いのちの停車場』14:30回で行われました富山市在住 鉛筆画の古谷振一さん、富山市民プラザ 中屋さん、岩城さんのトークイベントで、私自身、感動するお話が2点ありました。
一つは東映の故・岡田会長が陣頭指揮をとって撮影されていた『いのちの停車場』。東映の皆様にとって、そして、主演の吉永小百合さんをはじめ、キャストの皆様ににとって、想いのこもった作品で、本当にたくさんの方々にご鑑賞頂きたい作品です。
『いのち』の大切さ・『生きる』ということ・『生きる』ということに向き合う家族の姿。本当に愛が溢れる作品です。
この『いのちの停車場』と鉛筆画の『はかなさ』という魅力。消しゴムで消せる本当に『はかない』たった1枚の作品。岡田会長の想いがたくさん詰まった作品です。
もう一つは古谷さんが描かれた故・志村けんさんの作品。TVが大好きな古谷さんにとって、志村けんさんを描くと決められ、描いた作品を絶対に志村けんさんのお兄さんに送るべきだとYouTubeをご覧になられた方からご意見を頂き、お兄さんに送られました。
そのお兄さんがなんと、2021年4月29日に富山市民プラザの古谷さんの会場に仕事で来られたついでに寄られ、初めてお会いしたというエピソード。
私は何に感動したかというと、古谷さんの鉛筆画の魅力でもある瞳には魂がこもっており、展示会に訪れる方々が志村けんさんの作品をみて、号泣されるというお話です。私自身も志村けんさんが大好きで、すごくわかると感じました。お兄さんにとっても、本当に古谷さんの作品は嬉しかったと思います。
以上、こぼれ話です。
ぜひ、明日までの古谷振一さんの展示会『アートの世界 古谷振一展』です!!富山市民プラザに足を運んでください。
入場料は500円です!!(中学生以上)
そして、チケットを必ず持って、J MAX THEATERとやまにお越しください。
『いのちの停車場』をご鑑賞されるお客様(一般料金の方)に割引きがあります。特別興行・サービス料金は対象外です。
シニアの方・50歳ご夫婦割はお一人さま1200円とお安く観れますので!!



【とやま】『いのちの停車場』14:30回に、富山市在住の鉛筆画 古谷振一さんと富山市民プラザの中屋さんにご登壇頂きました!!
いつもJ MAX THEATERとやまをご利用頂きまして、誠にありがとうございます。
本日、『いのちの停車場』14:30回上映終了後、富山市在住 鉛筆画の古谷振一さん、
富山市民プラザの中屋さんにご登壇頂きました。
なぜ、今回、古谷さんが、『いのちの停車場』のポスター製作に携わることになったのか?
東映の故 岡田会長から依頼を受けた経緯とは何だったのか?
鉛筆画の魅力とは何なのか?
古谷さんと富山市民プラザ中屋さんとでトークセッションして頂きました。
ご来場いただきましたお客様にとっても、吉永小百合さんの映画の魅力と共に古谷振一さんの魅力を感じられ、さらに富山市民プラザの中屋さんの軽快なトークを堪能できる素晴らしい回になったかと思います。
また、古谷さんの鉛筆画の魅力が東映の故 岡田会長の心に届いたのは、鉛筆画の『はかなさ』なのかも知れないというお二人の見解。
故・岡田会長に真意を伺うことは出来ませんが、鉛筆画のもつ『はかなさ』という魅力をこの『いのちの停車場』の『いのち』という部分に感じるものがあったのかも知れないと思うと、ますますたくさんの方々に観て頂きたい作品です!!
本日はたくさんのお客様にご来館頂きまして、誠にありがとうございます。
富山市民プラザでの展示会『鉛筆アートの世界 古谷振一展』は明日までです!!
明日で最後の展示会になりますので、ぜひ、みなさん、富山市民プラザへ足を運んでください。
富山市民プラザでの、古谷さんのトークイベントも開催されます。
明日で最後です!!
ぜひ!!そして、展示会の後はぜひ、J MAX THEATERとやまで『いのちの停車場』をご鑑賞下さいませ。
皆様、貴重な1日を富山市民プラザ、そして、J MAX THEATERとやまでお過ごしくださいませ。
ご来館お待ちいたしております。
J MAX THEATERとやま



【とやま】『いのちの停車場』富山市在住の鉛筆画 古谷振一さんと富山市民プラザの中屋さん、岩城さんにご登壇頂きました!!
いつもJ MAX THEATERとやまをご利用頂きまして、誠にありがとうございます。
本日、『いのちの停車場』10:00回上映終了後、富山市在住 鉛筆画の古谷振一さん、
富山市民プラザの中屋さん・岩城さんにご登壇頂きました。
なぜ、今回、古谷さんが、『いのちの停車場』のポスター製作に携わることになったのか?
東映の故 岡田会長から依頼を受けた経緯とは何だったのか?
鉛筆画の魅力とは何なのか?
古谷さんと富山市民プラザ中屋さん・岩城さんの3名でトークセッションして頂きました。
ご来場いただきましたお客様にとっても、吉永小百合さんの映画の魅力と共に
古谷振一さんの魅力を感じられた素晴らしい回になったかと思います。
お足元の悪い中、朝早くからお越し頂きまして、誠にありがとうございます。
古谷さん×富山市民プラザの中屋さん・岩城さんとのトークイベントは明日も開催致します。
明日、14:30回の上映終了後です。
ぜひ、皆様、貴重な1日をJ MAX THEATERとやまでお過ごしくださいませ。
ご来館お待ちいたしております。
J MAX THEATERとやま



【とやま】スタッフおすすめ作品☆5/21(金)~『ファーザー』☆
これまで沢山の映画を観てきました。その中には生涯心に残り続ける映画がいくつもあります。そんな自分にとって宝物のような映画にまた出会えました。それが今回の紹介作品「ファーザー」です。
認知症が始まった老いた父とその介護に悩む娘の会話劇を軸に物語は展開していきます。少しずつ日常が崩壊していく中にあっても気高くあり続けようともがく老いた父アンソニーを演じたのは、83歳のアンソニー・ホプキンス。そんな父の異変に戸惑い自分の人生と父の介護との間で葛藤する娘アンをオリヴィア・コールマンが演じています。過去、アンソニー・ホプキンスは「羊たちの沈黙」で、オリヴィア・コールマンは「女王陛下のお気に入り」でそれぞれアカデミー賞の主演男優賞、主演女優賞を受賞しています。そして、アンソニー・ホプキンスは本作で二度目の主演男優賞を受賞しました。オスカー俳優二人の演技に胸が締め付けられるのはもちろんですが、その演技を引き出した脚本もまた素晴らしく、こちらも納得の脚本賞受賞。大推薦の一作です。
本作の監督はフロリアン・ゼレール。フランス最高位の演劇賞をはじめ数々の栄誉に輝くこのオリジナル戯曲を手掛けたゼレール自身が初の映画監督に挑んでいます。日本でも舞台化され、橋爪功と若村麻由美が父とその娘を演じていました。ゼレール監督は映画化に着手し始めた時から主演のキャスティングについて、心に常に浮かんでいたのはアンソニー・ホプキンスの顔だったと言っています。映画化の際に脚本をアンソニー・ホプキンスへのあて書きに変更し、主人公の名前と生年月日などをアンソニー・ホプキンスと同じ設定にしました。アンソニー・ホプキンスは認知症、老い、死、そんな不安に苛まれていく自分を想像しながら演じていたのです。
ネタバレっぽくなりますが、映画をご覧になる前に予備知識としてあった方がより深く作品を楽しめると思うので少しだけ紹介します。舞台となるアパートはずっと同じです。しかし、劇中でアパートの様相に違和感を覚えます。また、主たるキャストはわずか6人ですが、何人かが違った役柄で別の人物を演じて困惑します。この違和感や困惑こそが本作の大きな特徴です。認知症が進んでいくアンソニーの視点で物語が描かれています。主人公のアンソニーと共に観客である私たちも、現実と幻想、記憶と時間が混沌としていく世界を体験することになるのです。それはスリリングなサスペンス映画のような体験でもあります。認知症が進行していく中で、いずれ娘のことも分からなくなってしまうだろう父の苦しみ、愛する父親から忘れ去られてしまう娘の悲しみ。そんなことに思いを巡らさずにはいられません。この作品の映像体験は映画だけのものではなく私たちの誰もが現実世界でも抱えるかもしれない問題です。鑑賞後にずっしりと重い荷物を背負った気分になるかもしれませんが、人間の尊厳や慈しみについて今一度考えてみる機会でもあると思います。
**「ファーザー」は5月21日からの上映開始
** 公式サイト→https://thefather.jp/
ぜひ劇場でご覧ください!
(C) NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINE-@ ORANGE STUDIO 2020

【とやま】スタッフおすすめ作品☆5/21(金)~『サンドラの小さな家』
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今日は『マンマ・ミーア!』のフィリダ・ロイド監督作品、『サンドラの小さな家』をご紹介します!
アイルランド・首都ダブリン。暴力を受けた夫から逃げ出したサンドラは、清掃人とパブ店員のダブルワーク、娘のエマとモリーの送り迎えの日々を送っています。行政の支援を受け仮暮らし中のホテルは勤務先から遠く、頼みの公営住宅の申し込みは応募者多数で当てになりません。パブオーナーには横柄な態度を取られ、ホテル従業員には利用について厳しく注意され、さらに追い打ちをかけるように、週末の子供との面会の度に、元夫から復縁を迫られます。顔を合わせるだけでDVの記憶がよみがえりるサンドラは、身も心もくたびれ、苦しんでいました。
ある晩に娘が話してくれた神話からヒントを得て、サンドラは「自分で自分の家を建てる」ことを思い付きます。清掃の雇い主である元軍医ペギーが裏庭の土地を提供してくれたことをきっかけに、インターネットで得た知識と熱意だけを持った彼女に心を動かされた旧知の友人、パプの同僚とそのシェアハウスメイト、ママ友、そしてホームセンターで偶然居合わせた土木建築技師、みんながサンドラの家づくりに協力してくれることになりました。
そんななか、娘のモリーが元夫に会うことを拒み、面会を取りやめる週末が続いていました。遂にはそれが面会権の侵害にあたると言われ、法廷で親権を争うことになってしまいます。
新鋭クレア・ダンが主演・脚本を務めた本作は、彼女が友人から聞いた「家を失った」話に着想を得て、「DV」「シングルの子育て」「貧困」「移民」などの社会問題を取り上げています。そこに、アイルランドで昔から伝わる「メハル」=「皆が集まって助け合うことで、結果自分も助けられる」の精神を描くことで、ストーリーに希望と光を与えています。
「サンドラ」はアイルランドでよくある名前のひとつ。彼女のようなどこにでもいる人間が、困窮する生活を送ることになるのは、いつの時代もふとしたことがきっかけです。マイノリティとなった彼女の元に集うのはマイノリティな人々が多く、介助が必要なペギー、住居を不法占拠しているエイミーとそのシェアハウスメイトたち、土木建築市のエイドは心臓を患っており、彼の息子はダウン症です。サンドラと寄り沿ったみんなで建てる「家」は人生のメタファーでしょうか?様々な人と共助し合うことで、人生はいつでも作れる、やり直せるんだ、ということを伝えてくれる気がします。そして、当事者として感じがたい出来事も、このような映画を通じて「もし自分がそうなったら?周りの人がそうなったら?」を想像し、自分に問いかけていきたいですね。
最近のアイルランド作品は良いものが多く、これからも楽しみです。劇中で時々かかるアイルランド出身アーティストの曲にも注意してみてください!
公式ページはこちら→https://longride.jp/herself/
上映は5/21(金)~。ぜひ劇場でご覧ください!
(C) Element Pictures, Herself Film Productions, Fis Eireann / Screen Ireland, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute 2020

【とやま】スタッフおすすめ作品☆5/7(金)~5/20(木)『アンモナイトの目覚め』
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今日は『ゴッズ・オウン・カントリー』で鮮烈なデビューを果たした、フランシス・リー監督の最新作『アンモナイトの目覚め』を紹介します!
1840年代のイギリス・海沿いの町で母親と暮らす、古生物学者メアリー・アニング。かつて発掘した化石は世紀の大発見として大英博物館に展示されていますが、今は土産物用のアンモナイトを発掘し細々と生計を立てる日々を過ごしていました。そんな彼女の元を訪れた、裕福な化石収集家マーチソン氏とその妻シャーロット。夫は妻をメアリーに預け、数週間化石収集の旅へ出てしまいます。頑固で人付き合いの苦手なメアリーと正反対の、若くて美しい人好きのするシャーロット。当初は余所余所しく、正反対が故に彼女に苛立ち冷たく突き放すメアリーでしたが、高熱を出したシャーロットを看病したことがきっかけとなり、彼女に惹かれていきます。
『近代・海辺の町が舞台』・『立場(階級)の異な者同士のレズビアン・ロマンス』ということで、既に公開された『燃ゆる女の肖像』と比較され、話題となっています。『燃ゆる~』は完全なオリジナル脚本でしたが、本作は実在の古生物学者と化石収集家の妻に、監督が新たなキャラクターを肉付けしています。
実在した人物をこのように大胆に脚色していいか少し疑問に思っていたところ、監督の「当時は女性が男性に従属する立場にあり、メアリーが発掘した化石は大英博物館展示の際に別人の男性名に置き換えられていた。社会的地位と性別が理由で、その存在が歴史から消されていたからこそ、男性との関係を描く気になれなかった。彼女にふさわしい、敬意ある平等な関係を与えたかった」というコメントを読み、本作の説得力を感じとることができました。
仕事に人生を捧げるメアリーも、心に傷を追ったシャーロットも、どちらも男社会に生きています。その中で自分を見つけることの難しさ、心を閉ざし生きていた人が、愛し愛されるために無防備になることがどれだけ大変か。この切実さは、現代にも通じますね。
セリフは多くありませんが、主演のケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナンの所作や呼吸、全てを絶妙にコントロールした名演も見どころです。セクシャリティの多様性が叫ばれる今だからこそ本作を観て、少しずつ理解を深めていきましょう!
公式ページはこちら→https://gaga.ne.jp/ammonite
上映は5/7(金)~5/20(木)の期間限定!!
お見逃しなく!!
(C) The British Film Institute, The British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited 2019

【とやま】スタッフおすすめ作品☆4/29(金)~『カポネ』☆
アカデミー賞が発表されましたね。作品賞、監督賞、主演女優賞の3冠に輝いた「ノマドランド」は現在当館にて上映中です。主演女優賞のフランシス・マクドーマンドが受賞スピーチで「みんな映画館に行きましょう。たくさんの人と大きなスクリーンで観て」と話していました。自身の受賞の喜びよりもコロナ禍で苦境にある映画を応援してほしいと訴えていた姿がとても印象的でした。
今回紹介するのは、29日から上映開始の「カポネ」です。若い方にはあまり耳馴染みのない響きかもしれませんね。アル・カポネは、アメリカの禁酒法時代(1920年~1933年)に暗躍した史上最も有名なギャングの親分です。ダメだと言われると、じゃぁバレないようにこっそりとやっちゃえ、というのは世の常。カポネは酒の密造販売で大儲け。敵対するギャング達を殺害し、政治家や警察、マスコミも買収、“影のシカゴ市長”とまで言われるようになります。「スカーフェイス」でアル・パチーノが、「アンタッチャブル」ではロバート・デ・ニーロがこの時代のカポネを演じています。ご覧になった皆さんも多いことでしょう。
本作「カポネ」は血なまぐさい時代のアル・カポネではなく、長い刑務所暮らしの後にフロリダで隠遁生活をおくっていた最晩年(といってもこの時はまだ40半ば)のアル・カポネにスポットをあてた人間ドラマです。若い頃から患っていた梅毒にいよいよ身体も精神も蝕まれてしまいます。認知症が進行し排泄もままならずオムツ姿に(何度も言いますが、この時はまだ40半ば)。過去の自身の悪事に苛まれ、現実と妄想のはざまで奇行を繰り返すようになります。なんと言ってもアル・カポネを演じたトム・ハーディーに尽きます。痛々しいほどに身も心もボロボロですが、眼光の鋭さとドスの利いた声にはアル・カポネの矜持と凄みがあります。見事なトム・ハーディーのアル・カポネです。
劇中で語られるエピソードにはフィクションの部分も多くあるようです。アル・カポネという実在したギャング・スターのことを知らなくても、アル・カポネという男に起きた悲しい物語として十分に楽しめると思います。
そういえば、次の007ジェームズ・ボンドの候補にトム・ハーディーが取りざたされているのはご存知でしょうか?そうかぁ…、ジェームズ・ボンドがニンジンくわえて…、いやいや何でもありません(笑)。是非、映画館で。
※「カポネ」4/29~上映
※ 公式サイト→https://capone-movie.com/
(C) 2020 FONZO, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

【とやま】スタッフおすすめ作品☆4/23(金)~『ノマドランド』☆
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いよいよアカデミー賞の発表が26日に迫りました!今日はノミネート作品の中でも”大本命”と言われる「ノマドランド」を紹介します!
ネバダ州の企業城下町で暮らしていた60代の女性ファーン。リーマンショックの影響で、長年住み慣れた家を失ってしまいました。キャンピングカーに亡き夫や家族との思い出など全てを詰め込み、彼女は“ノマド(放浪の民)”として車上生活を送ることに。Amazonの倉庫や国立公園の管理人など、過酷な季節労働現場を渡り歩きます。「”ホームレス”ではなく、”ハウスレス”」と言い、誇りを持ちながら生きるファーンの旅は、果たしてどこへ続いているのか――。ファーンの姿を通し、行く先々で出会い心の交流を重ねる”現代のノマド”の実像を描き出します。
本作の見どころはたくさんありますが、まず初めに主演のフランシス・マクド―マンドの踏み込んだ演技に注目してください。過酷な状況に耐えうる存在感を保ちつつどこかチャーミングで親しみやすい、時に「ぷぷっ!」と吹き出してしまうようなファーンは、彼女の経験に裏打ちされた演技力により生まれたキャラクターだと感じました。いくつかの印象に残るシーンは、本作のプロデューサーでもある彼女のアイディアからヒントを得たものだそう。
次に注目して欲しいのは、主演の2人以外は“現実のノマド” 、つまり演技経験のない一般人である点です。彼や彼女たちが自身に起こった出来事や胸中を吐露するんですが(つまりリアルな経験談として)、あまりの名演っぷりに、エンドロールが出るまで素人だと全く気がつきませんでした(笑)。俳優とノマドたちが実際に車上で生活し、育まれた絆がスクリーンを通して伝わってきます。
そして、その2つを物語と調和させ、フィクションとドキュメンタリーのグラデーションのような映画に仕上げたのが、本作の監督である新鋭クロエ・ジャオです。雄大な自然の息をのむような美しいショット、限りなく本物を感じる風や水などの環境音が、本作を特別なものにしています。あのテレンス・マリックに影響を受けたと聞いて納得しました。彼の映画も”grace(恩寵)”というキリスト教特有の考え方が根幹にあり、広大な大地を持つアメリカだからこそ生まれる美しいシーンがたくさんですよね。皮肉ですが、いろんな危機や災害を経験するからこそ、自己や生き方、目の前にある自然について考える…そんな哲学的な作品でした。
ジャオ監督は今後、マーベルの新作「エターナルズ」を手がけることも決まっていて、そちらも楽しみです!
ぜひJ MAXシアターでご覧ください!
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【とやま】アカデミー賞ノミネート作品はJ MAXとやまで!
新型コロナウイルスの影響で2ヶ月近く延期になっていた第93回アカデミー賞授賞式がいよいよ25日(日本時間では26日)に開催されます。今年のアカデミー賞は新しい時代のアカデミー賞になるんじゃないかと思っています。今回はそんなことを当館の上映予定と併せて書きました。
コロナ禍でアメリカの映画館は長期に渡る休館を余儀なくされたことで新作の公開が先延ばしになり、例年に比べアカデミー賞の対象作品数が減ることになりました。そんな中にあってNetflixをはじめとした配信作品の躍進がとまりません。今年のノミネート数は過去最高でした。今後、アカデミー賞に限らず世界各地の映画祭でも配信作品が無視できない時代になっていくのではないでしょうか。
そして、もうひとつ時代の大きなうねりを感じるのが“多様性”対しての取り組みです。長年アカデミー賞は、有色人種の監督や俳優による作品のノミネートや受賞が少ないことで批判を受けてきました。2016年には俳優部門のノミネートが全員白人だったことで“ホワイト・オスカー”と揶揄されました。昨年は監督賞にノミネートされたのが全員男性だったことを受け、ナタリー・ポートマンは羽織ったケープに評価されるべき女性監督の名前を金色の刺繍で施し授賞式に現れました。このことは瞬時に世界中に広まっていきました。SNS社会の到来で様々な考えや問題が可視化できる時代になりました。アカデミー賞も変わっていく必要があります。アカデミー賞を運営する映画芸術科学アカデミーは、作品賞選考において“多様性”を求める新たな基準を設け2024年の第96回から適用すると発表しています。そんな過渡期にある昨年第92回アカデミー賞で韓国映画『パラサイト半地下の家族』が英語以外の言語の映画として史上初の作品賞を受賞しました。歴史が変わることを実感した瞬間でした。
今回のノミネート作品を見てみます。配信作品は過去最高のノミネート数となり多様性についてもその考え方を変えようとする姿勢がうかがえます。作品賞でノミネートされた「ミナリ」で一家の父親役を演じたスティーブン・ユアンはアジア系として初の主演男優賞にノミネートされました。「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督はアジア系女性として史上初めて監督賞へのノミネートを果たし、「プロミシング・ヤング・ウーマン」のエメラルド・フェネル監督と共に複数の女性監督が監督賞にノミネートされたのも史上初です。
J-MAXとやまではここで紹介した新しい時代のアカデミー賞を予感させる作品を上映します。「ミナリ」はすでに上映は終了しているのですが、作品賞の大本命と目されている「ノマドランド」が4/23(金)~の上映(なんというグッドタイミング!)です。そして作品賞やキャリー・マリガンの主演女優賞が有力視されている「プロミシング・ヤング・ウーマン」は7月上映予定です。
まだまだあります。個人的に注目しているのが主演男優賞。「マ・レイニーのブラックボトム(配信作品)」の昨年43歳の若さで亡くなったチャドウィック・ボーズマンを推す声が圧倒的です。彼が受賞したら誰がどんなスピーチをするのでしょう?想像しただけでウルウルしてきます。今、J-MAXとやまでは彼が主演する「21ブリッジ」を上映しています。ボーズマンの最後の主演作品です。今は亡き彼の熱演を目に焼き付けてください。主演男優賞でのボーズマンの対抗馬が「ファーザー」の83歳の名優アンソニー・ホプキンス。半世紀を超える役者人生の最高傑作にして集大成と絶賛された「ファーザー」も当館で5/21~の上映が決定しています。楽しみな作品が目白押しです!皆さんのお越しをお待ちしています。
“and the oscar goes to…” さて、皆さんの予想は?